心温まる逸話でたどる125代天皇・明仁上皇の人柄

カレーライス

明仁上皇は、第125代天皇として1989年から2019年まで在位され、そのお人柄や行動には多くの心温まるエピソードがあります。これらの逸話は、上皇陛下の人間味あふれる側面を垣間見ることができ、国民からの親しみと尊敬を集めています。

幼少期のエピソード

幼少期、明仁上皇が学習院初等科に入学される際、当時の慣習で坊主頭にする必要がありました。側近たちは上皇陛下に気付かれないよう、鏡を撤去するなど細心の注意を払いましたが、夕食時にお吸い物に映った自身の姿を見て驚かれたそうです。その際、上皇陛下は「宮のいやなことは、これからだまってしないように、みんなにそう言ってね」とおっしゃり、幼いながらも自身の意見を冷静に伝えられました。

「テニスコートの恋」

上皇陛下と美智子様の出会いは、1957年8月19日、軽井沢のテニスコートでした。当時、皇太子であった上皇陛下は23歳、美智子様は22歳。テニスの試合で対戦したことがきっかけで交流が始まりました。この出会いは「テニスコートの恋」として広く知られています。お二人のご結婚は、皇族以外の方との初のご成婚として大きな話題となり、国民から祝福されました。

カレーライスへの愛着

上皇陛下はカレーライスを特に好まれていました。1964年、神奈川県で開催された冬の国体に出席された際、箱根の富士屋ホテルに宿泊され、その際に名物のビーフカレーを召し上がり、おかわりをされたという逸話があります。また、天皇皇后両陛下(当時の皇太子ご夫妻)が1995年に雲取山を登山された際、山荘でカレーライスを召し上がり、雅子様が残された分を陛下が代わりに食べられたという微笑ましいエピソードも伝えられています。

被災地への思いやり

上皇陛下は、災害時に被災地を訪れ、直接被災者と交流されることを大切にされました。2011年の東日本大震災の際には、皇后美智子様とともに避難所を訪問し、膝をついて被災者とお話しさいます。このような行動は、国民に寄り添う象徴天皇としての姿勢を強く示すものでした。

退位礼正殿の儀での配慮

2019年4月30日の退位礼正殿の儀において、上皇陛下は最後のご挨拶の際、参列者全員と目を合わせるようにゆっくりと視線を動かされました。この細やかな配慮は、最後まで国民一人ひとりに寄り添うお気持ちの表れとして、多くの人々の感動を呼びました。

これらのエピソードは、明仁上皇の人柄や国民への深い思いを伝えるものとして、今後も語り継がれていくことでしょう。